依存支配型 その三 | 津川診療所 福島県 福島市 精神科 カウンセリング 精神療法 心理療法 精神分析 カウンセラー

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依存支配型 その三

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 『依存支配型 その二』で、"優等生性"について述べるところまで進みました。書き足りない感じがあります。

 "優等生性"に連続するものとして、奴隷性、殉教者性、悲劇のヒロイン性、そしてpassive mastery(受身的支配)を挙げようと思います。そういう言葉が浮かんできます。"優等生性"の亜型とか、バリエーションとか、そんな風に呼べるような気もします。

 まず、"奴隷性"という言葉からの連想を書いてみます。

 相手の言うことに盲目的、反射的に従う、逆らえない。自分の方から相手の指示を求め、得られない場合は察しようとし、その指示を全うしようとする。従属的。

 ここまで書いたのが数か月前です。ここから先が止まってしまいました。奴隷性、殉教者性、悲劇のヒロイン性、受身的支配について、順番に、詳しく書いてみる予定でした。その計画を実行に移せません。どうも、依存支配型について書こうとするとブログの更新が滞ってしまう傾向がありそうです。

 順番に、綺麗にまとめようとしているところに無理があるのではないか、という気がしてきました。思いついた時に、順序にこだわらず、奴隷性、殉教者性、悲劇のヒロイン性、受身的支配について、そのどれかに触れていく、ということにしよう。まずは優等生性から離れて、依存支配型的我について、もっと書きやすいところから書いてみよう、と気持ちを切り替えました。

 負けず嫌い。これを依存支配型的我の特徴として挙げたい。

 孤立型の人だって、負けず嫌いの人は少なくありません。勝ちたい。優越したい。そういう気持ちのない人はいない、人間全員が負けず嫌いだ。そう言ってしまえばそうだろうと思います。僕の中にも負けず嫌いがあります。でも、依存支配型の人の負けず嫌いは僕のとはちょっと違うよなあ、という感じがあるのです。負けず嫌いという表現は、依存支配型の人にこそふさわしい、という気がして仕方がありません。

 負けた時の悔しさの度合い、その強さ激しさに違いを感じる。悔しさが絶望に裏打ちされる程度の違い、という表現が今浮かびました。負けることが絶望にストレートに結びつく。だからこそ踏ん張って、悲しさよりも、悔しさ、怒り、恨みが強くなる、なんとかしようともがき、それらの感情を晴らそうとして、さらに勝へのこだわりが強化される。そんな感じ。

 この感じは、また、裏切りに対する感じに似ています。裏切りにあった時の感情、裏切られ感。裏切られた、という叫びは、依存支配型の人にこそふさわしい。悔しさ、怒り、恨み、の強さ激しさ。復讐に向かう気持ちの程度の強さ。深い悲しさが前景に出てきにくい。

 僕の言うところの潜在的孤独感。潜在的孤独感が潜在的であるためのやり方の違い。依存支配型は人との関係でその解決を求める。孤立型は最初から人との関係に直接的な解決を求めない。その違いがこういうところに出ていると考えると、僕には、なんとなくわかったような気がしてきます。

 自分の中にも確かにあるが、依存支配型の人に比べるとなんだかちょっと違うなあと感じる感じ、負けず嫌いや、裏切られ感に対するのと似た感じが、他にもあります。

 正しさへのこだわり。何を正しいとするかという正しさの中身にも違いを感じます。が、ここではそこには立ち入らず、正しさを求める勢いの強さを問題にしたい。勝ちや信頼(裏切られない)にこだわる感じとそっくりです。

 正しさというのは、真理とか真実とかの表現と比較すると、より社会的な場面で、より人間関係が問題になる場面で使われる言葉だ、と言えないでしょうか。とするとやはり、元々が人間関係の中で直接的に安心を求める依存支配型にとって、正しさがより大きなテーマになるのも、わからないではない気がしてきます。

 ここまで書いてきて、今ちょっと混乱した感じに陥ったというか、不思議だなあという感じが生じました。優等生性からいったん離れるつもりで書き出したはずなのに、結局、優等生性についての補足説明になっているじゃないか、と気が付いたのです。その人の言動にはいつも常に正しいという感じがつきまとう。そもそもそういう人を良い子とか、優等生と呼ぶ。そう言えそうな気がしてきたのです。

 そして、正しさへのこだわりをキーワードにすると、殉教者性、悲劇のヒロイン性、受身的支配の説明がしやすくなることにも気が付きました。正しいと信じる教えのために自分を犠牲にし、死をも厭わないのが殉教者だし、結果は悲劇的なものだが正義は自分の方にあるというのが悲劇のヒロインの中心的な気分、自分のほうが弱く守られるべき存在だと相手にうまく思い込ませて正義の名のもとに相手を操るのが受身的支配。

 

 

 

 

 

 

 

 

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